父親が子どもを抱っこしているところ

育児について考えたこと

「男性育休義務化」に賛成! メリットと課題をまとめてみた。

投稿日:2019年5月22日 更新日:

Twitter 内で「男性の育休取得を義務化する」という話題が盛り上がっている。

#男性育休義務化」というハッシュタグまで作られ、子育てアカウントを中心にいろんな意見が増えてきた。

想像通りの賛否両論で、今はまだ「議論になっている」とも呼びにくい状況。
仕事、家庭、夫婦、親子、さらには実家との関係まで影響が及ぶとあって、論点すら定まっていない印象だ。

「義務化」の詳細はまったく分からない(というか決まってない)。
だけど、とりあえず現時点で僕は義務化に「賛成」の立場だ。

これから得られる情報によって、その立場は微妙に変わってくるだろうとは思う。
ひとまず自分の考えを整理するためにも、現在までに分かっていることや考えていることをまとめておくことにする。

これを読んだ人にとって、何かしら考えるきっかけやヒントになれば嬉しい。

「男性育休義務化」に賛成の理由

すでに書いた通り、僕は男性育休義務化に賛成の立場だ。

より具体的に言うと、

義務化する必要がないのが理想的だけど、
育休取得が普通のものとして定着するまで
暫定的な措置としては有効

という感じ。

そして、「普通のものとして定着」とは何かと言うと、

父親が当たり前に母親と同程度の(直接的な)育児を担当し、
育休を取りたい人が当たり前に取れる

という社会的な空気が出来上がった状態になることだ。

残念ながら、今の日本にそのような空気は(ほとんど)存在しない。

それを如実に表しているのが、男性の育休取得率。
なんとわずか 5.14% だ(厚労省の 2017 年度雇用均等基本調査(PDF)による)。
一応年々増えてはいるものの、まだまだ市民権を得ているとは言い難い。

もちろん「取りたくない」「取る必要はない」と考える人も居るだろうから、100% になる必要はない。
が、それでも一桁台はさすがに低すぎるだろう

ここまで育休の取得率が低い原因や理由はいろいろあるだろうけど、育休の義務化によって解決へ進むであろう問題が少なくとも 2 つある。

それは、

  1. 「男性が育休なんて」という空気がある
  2. 職場の体制の不備

という問題だ。

順に考えていこう。

解決できる問題その 1:「男性が育休なんて」という空気がある

男性の育休と聞いて「なんで? そんな必要ないでしょ?」と考えている人がまだまだ多い。

特にお年寄り上司や管理職の年代になると、その傾向は顕著になる。
そうなると若手はもちろん言い出せない。

「オレのときはさぁ」などと言われて、「あなたが育休を取らなかったことが、私が育休を取らない理由にはならない」なんて言える人は稀だ。
というか、そんなことを言えてしまう関係性なら、育休取得も気兼ねなく申し出ることができるだろう。

その空気を突破するためには、それ相応の理由が必要になる。

例えば

  • 奥さんが病弱で産後は特別なケアが必要
  • 親の介護もしないといけない
  • 産まれてくるのが多胎児(双子・三つ子……)

といったところだろうか。

男性の育休そのものに理解がない人たちを納得させるためには、かなり特殊な事情がないといけない

さもないと「休む必要なんてないじゃんw(これまでみんなそうしてきたんだから)」と一蹴されて終わりだ。

もし男性の育休取得が義務化されれば、こんな「休むための理由」なんて必要なくなる。
「義務だから」で済むのだ。
これは大きなメリットだと思う。

解決できる問題その 2:職場の体制の不備

これは「そもそも男性が育休を取得することを想定してない」ということが背景にある。

男性が育休を取得する際、仕事の引き継ぎや割り振りをどうするかという基本的なことすら決まっていない。

というか、一人欠けただけで仕事が回らないような体制の職場なんてザラにあるだろう。
(それは育休とは関係なく問題あると思うのだけど)

ちゃんとした会社だと、数年単位の計画を立てて社員を育成したりする。
だけど、その計画の中に育休取得の可能性が織り込まれていることはまずない

なぜか数年間もずっと休まず、出勤し続けることが前提になっている。

たった数週間休んだだけで、社内でのポジション取りに懸念が生じるのが現状なのだ。

これらの問題も、男性の育休取得が義務化されることで改善されるはずだ。

「義務」である以上、会社としてもそれを考慮した体制を整える必要が出てくる。
優秀な人材を確保するためには、むしろその体制の充実がアピールポイントになってくるかも知れない。

「男性育休義務化」の課題や懸念

もちろん良いこと尽くめではない。
男性の育休が義務化されることによる課題や懸念もいろいろある。

育休期間について

仮に一ヶ月の育休が義務化された場合。
もっと長く「半年や一年の育休を取得したい」という男性に対して、風当たりが強くなる可能性がある。

義務化されたのが一ヶ月なのだから、それで充分なはずだ
こんな認識が広まってしまったら、それはそれで大きな問題だ。

「充分」なのではなく、「最低限」であるということを周知徹底する必要があるだろう。

「役に立たない夫」をどうするか

もし育休取得を義務化するなら、男性の育児教育もセットで考える必要があるだろう。

せっかく育休を取得しても、肝心の男性自身の意識が伴っていなければ意味がない。

「育休だー! 休みだー!\(^o^)/」みたいになる夫を可能な限り減らす必要がある。

男性の育休は、女性(母親)の負担を軽減することが最大の目的。
その男性が家庭に居ることで、女性の負担が増えるようなことはあってはならない

この問題については、フランスの「父親教育」について書かれた次の記事が参考になる。

»フランスの父親が育児に積極的なワケ〜男を「父にする」工夫の数々(髙崎 順子) | 現代ビジネス | 講談社(1/5)

これくらい周りが夫を追い込んで、無理やり「父にする」ための仕組みを社会全体で作ることができれば……。
日本も大きく変わる可能性は充分にあるはずなのだけど。

育休義務化がカンフル剤となって、「父親教育」の体制が整備されることを期待したい。

収入が減る

育休期間中も満額支給してくれる太っ腹な会社もあるらしいが、基本的に育休中は無給になってしまう。
なので、多くの場合は雇用保険から支払われる「育児休業給付金」で対応することになる

この場合、収入の額は給料の 3 分の 2 ほど(半年後は 2 分の 1)に減ってしまう。

支給金額は、ざっくり言えば育休開始から6カ月間は給料の67%、以後はお給料の50%です。

また、それぞれ上限額があり、育休開始から6カ月は29万9691円、以後は22万3650円です。
産休・育休中のお給料、税金はどうなる?月収25万円でシミュレーションしてみた | DAILY ANDS [人生は投資の連続。Bloom your life.]

これまで育休を取るのは、女性のみがほとんどだった。
だから、男性の稼ぎで何とか家計を維持するというところも多かったと思う。

ところが、もし夫婦揃って収入が 3 分の 2 まで減るとなると、なかなかインパクトは大きい

また、夫のみが働いていて、妻は専業主婦という家庭にも大きな影響がある。
特にこの夫婦が「男性の育休は必要ない」と考えていた場合は深刻だ。

育休義務化によって、文字通り「強制的に」休まされ、収入を減らされてしまう。
余計なことしやがって」と思っても無理はない。

出産前後は、ただでさえ出費が多い時期だ。
自分たちの意志とは関係なく、収入を減らされてはたまったものではないだろう。

育休を義務化するならば、何らかの補助金や手当などを支給する必要がある
現実問題として、税金で穴埋めしてもらわなくては立ち行かない家庭もあるはずだ。

そうなると、子育て世帯「以外」から不満の声が上がるかも知れないけど……。
そこは政治家先生の本領を発揮してもらって、うまく切り抜けてもらいたい。

新たなマタハラ?(→パタハラ)

これはあくまで想像の範囲内なのだけど、新たなマタハラが生まれる可能性もあると考えている。

今でも女性は、結婚していたり妊娠・出産の希望があったりすると、採用や昇格に影響が出ると言われている。
もちろんそれは法律に反することなのだけど。
「妊娠したりして途中で抜けられたら困るなぁ」というのが会社側の本音だろう。

それと同じことが男性にも起こるかも知れない。
つまり、「子どもができる可能性がある男性」と「独身の男性」を比べたとき、会社からするとどちらが使いやすいか、という話だ。

当然、使いやすいのは「独身の男性」の方だろう。
妊娠発覚から育休取得まで数ヶ月あるとはいえ、会社からするとそういう「手間」のかかることは避けたいと思うはず。

数年単位の責任ある仕事は「独身」男性へ……。
そんな風潮が広まってしまうと、男性も若いうちに結婚することを避けるようになるかも知れない。

そうなってしまったら、ますます少子化に拍車がかかる
それは「男性育休義務化」の目的とは正反対のことだ。

考え過ぎかも知れないけど、最悪の場合、こういうケースも有り得るということは想定しておいた方が良いと思う。

【追記】
既に社会問題化していて、「パタハラ」という言葉まであるそうだ。

パタニティ・ハラスメントの略です。

パタニティとは、Paternity(父性)の意味。
男性社員の育児休業制度等の利用に関して、
上司・同僚からのいやがらせを指します。

具体的には、育児休業取得を拒んだり、
育児休業取得を理由に降格させるなどといった
行為が典型です。
パタハラとは何ですか?(人事労務Q&A)|人事、採用、労務の情報ならエン人事のミカタ

育休義務化によって、この問題がさらに深刻化するかも知れない。

「男性育休義務化」についての議論の始まり

そもそも「男性育休義務化」という話は、どのようにして出てきたのだろうか。
この議論が始まった経緯について、簡単にまとめておく。

事の発端は、5 月 18 日。
自民党の有志議員が、ある議連(議員連盟)を発足させるという話が出てきた。

その名も「男性の育休『義務化』を目指す議員連盟」。

うん、分かりやすい(笑)。

男性の育児参加を促すため、自民党の有志議員が「男性の育休『義務化』を目指す議員連盟(仮称)」を発足させることが18日、分かった。松野博一元文部科学相が会長に就任する予定で、6月5日にも初会合を開く。男性が育休を取りやすい環境の醸成が少子化対策や女性活躍につながるとして、議員立法も視野に政策提言を目指す。
男性育休「義務化」で議連=来月発足、法制化も視野-自民:時事ドットコム

議連の名称は「男性の育休“義務化“を目指す議員連盟」となる予定で、呼びかけ人には参院議員の松川るい氏、森まさこ氏、衆院議員の和田義明氏が名前を連ねている。会長には松野博一元文科相の名が挙がっている。
男性育休 ”義務化” に向け、自民党有志が議連発足へ | ハフポスト

僕がこの話題を初めて知ったのも、このニュース記事を紹介したツイートからだ。

自民党の議員が、男性の育休義務化をめざしている。素晴らしい!

義務化には賛否両論あるだろう。
しかし、自主性に任せてきた結果が今の取得率5.14%。

私は取りたくても取れなかった。パタハラにも遭った。だから定着するまでは、義務化ウェルカム!

男性育休義務化について「賛否両論あるだろう」とした上で、「義務化ウェルカム!」と全面的に賛成している。

僕もこのツイートに共感して、こんなツイートをした。

> 定着するまでは

これがポイントですよね。
「取るも取らないも本人の自由」というレベルにまでなれば、義務化なんてする必要はない。

「取りたいけど取れない」人の方が圧倒的に多い現状で、義務化は有効な手段になり得る。

例外をどうするか、期間はどれくらいか、課題はいろいろあるけど……。

今のところ僕の考えはこの通りで、義務化そのものについては賛成
それがベストではないけど、ベターであるという立場だ。

もちろん反対意見も多い。
代表的なのは、「夫が育休を取ったところで役に立たないし、むしろ世話をする手間が増える」というもの。

男性育休100%義務化、どうなんだろう。家事育児する夫ならありがたいけど、昼になったら平気で「ごはんは?」と言ってくるタイプの夫なら仕事に行ってくれてるほうが100万倍マシだし。そういう夫には育休くれるよりまかない&持ち帰り弁当付きの飲食店に16時までの短勤務を斡旋してくれるほうがいい。

この他にも、本当に様々な意見が飛び交っている。
冒頭でも書いたように、今はまだ賛否両論が入り乱れている状況。

それも論点があちこちに飛び散りながらの賛否両論だ。
膨張し続けるこの意見の山をまとめる気力は僕にはない(´д`)
(興味がある人は「#男性育休義務化」のハッシュタグからどうぞ)

「男性育休義務化」の期間は? 二週間だけ?

各方面からの意見が飛び交う中、少しずつ「義務化って二週間だけなの?」というツイートが散見されるようになった。

それを見て僕もこんなツイートをしている。

「たった二週間なんだから」の後に続く言葉が二種類あるのが興味深い。

一つは、
「それくらい休んだって仕事に支障ないでしょ」
という推進派。

もう一つは、
「その程度じゃ母親の負担は減らない。育休の意味がない」
という反対・慎重派。→

「いかに論点がズレているか」ということが、このツイートの趣旨。

なのだけど、よくよく考えたらこの「二週間」ってどこから出てきたんだろう?

後から気になって調べてみても、それらしい情報は見付からない。
「二週間だけ」という他の人のツイートを見ても、一次ソースを紹介しているものは皆無だった。

そうして、いろいろ辿っていくうちに見付けたのがこちらのツイート。

小室淑恵です!驚く展開に!「男性の育児休業の義務化が必要!政治に働きかけよう!なんと言われようと2週間は必須!」と息巻いていたら、え?政治サイドがむしろ「男性の育児休業は最低1か月義務化すべし!!!」と、こっちより前のめりで議連を作ってきた

(株)ワーク・ライフ・バランスの小室淑恵さんという、多くの企業に男性の育休義務化を導入して(させて)きた人だ。

確証はないのだけど、この人が言っている「なんと言われようと2週間は必須」が独り歩きしているだけなんじゃなかろうか
それが巡り巡って「義務化って二週間だけなの?」となってしまっているのでは……?
というのが僕の推測。

議連の中心人物である松川るい参院議員は、インタビューでこう答えている。

骨折したって社員が1〜2週間休むことはある。出産は10カ月も前からわかっているのですから、3〜4週間休ませることができないってことは無いと思うんですよ
「これじゃ日本の女性は輝けない」 男性育休”義務化”に自民・松川るい氏が込めた思い | ハフポスト

これを読む限り、義務化される男性の育休期間はまだ決まっていないように思える。

育休期間は、義務化にあたって大きなポイントの一つ。
文字通り「政治的な」調整や根回しも必要になってくるだろう。

慎重に議論を進めてもらいたい。

ちなみに、小室淑恵さんがなぜ「なんと言われようと2週間は必須」と言っているかというと、

産後の妻の死因1位は『自殺』です。その要因である『産後うつ』のピークは産後2週間です。この時期に孤独な育児で苦しむ妻を男性の育休が救うのです。
男性育休 ”義務化” に向け、自民党有志が議連発足へ | ハフポスト

というのが大きな理由みたい。

これを考えると、二週間というのは本当に最低限かな……。
数日程度の育休じゃ意味がなさそう。

まとめ

なんだかんだと書いてきたけど、僕としては「男性育休義務化」に賛成。
その理由は「男性の育休取得を定着させ、取りたい人が取れる社会の空気を作るため」。

いろいろ課題や懸念もあるけど、それらは男性の育休が叶って初めて発生するものだ。
まずは育休が取れる地ならしをする必要がある

そのためには、「義務化」という力技は有効な手段になり得る。

少なくとも、この「義務化」というパワーワードによって、男性の育休についての意見が各方面から飛び交うようになった
まずはこれだけでも、大きな成果だろうと思う。

ほんの数日前までは「取りたいけど取れない」が当たり前だったのに、少しずつ状況は変わろうとしている。

硬直した現状を打破する一手となるだろうか。
ぜひなって欲しい。

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